「妊娠がわかったけど、ピラティスは続けていいの?」「安定期に入ったら始めても大丈夫?」「臨月まで続けられる?」——妊娠中の運動について、不安や疑問を抱えている方は多いのではないでしょうか。
ピラティスは、身体への負担が比較的少なく、妊娠中の体調管理や出産に向けた身体づくりに役立つエクササイズとして注目されています。しかし、妊娠中は通常時とは異なる配慮が必要です。時期によって気をつけるべきポイントも変わってきます。
この記事では、妊娠初期から臨月まで、週数別にピラティスとの向き合い方を解説します。安全に取り組むための判断基準や、中止すべきサインについても詳しくお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。
- 妊娠中にピラティスを始める・続けるための基本ルール
- 妊娠初期・中期・後期・臨月それぞれの注意点と推奨される運動強度
- 運動を即中止すべき身体のサイン
- 妊娠中のピラティスに関するよくある疑問への回答
妊娠中の運動、基本ルールと「医師の許可」
妊娠中の運動は、母体と赤ちゃんの健康状態によって、できること・できないことが大きく異なります。まずは基本的なルールを押さえておきましょう。
運動を始める前に必ず主治医に相談を
妊娠中にピラティスを行う場合、最も重要なのは「主治医の許可を得ること」です。
妊婦健診で経過が順調であっても、運動の可否は個人差があります。母子手帳をもらったタイミングで、担当医に「ピラティスを続けたい(または始めたい)」と相談してみてください。
医師からOKが出た場合でも、「どの程度の強度まで大丈夫か」「避けるべき動きはあるか」といった具体的な確認をしておくと安心です。
妊娠前から続けていた人と、新しく始めたい人の違い
妊娠中のピラティスには、大きく分けて2つのケースがあります。
妊娠前からピラティスを続けていた人は、身体がすでにピラティスの動きに慣れています。医師の許可があれば、強度を調整しながら継続できるケースが多いです。ただし、妊娠前と同じペースで行うのではなく、お腹の状態や体調に合わせて無理のない範囲に調整することが大切です。
妊娠を機に新しく始めたい人は、より慎重なアプローチが必要です。身体がピラティスの動きに慣れていないため、安定期(16週以降)に入ってから、マタニティ専門のクラスやプライベートレッスンで始めることをおすすめします。通常のクラスではなく、妊婦さん向けに設計されたプログラムを選んでください。
切迫早産・妊娠高血圧症候群などリスクがある場合は原則禁止
以下のような診断を受けている場合、運動は原則として控えるべきです。
- 切迫流産・切迫早産の診断がある
- 妊娠高血圧症候群
- 前置胎盤
- 子宮頸管無力症
- 多胎妊娠(双子以上)で医師から安静指示がある
- その他、医師から運動を控えるよう指示されている場合
これらに該当する場合は、たとえ体調が良くても運動は避け、医師の指示に従ってください。「少しくらいなら大丈夫」という自己判断は禁物です。
【週数別】推奨される運動強度と頻度
妊娠の経過によって、身体の状態は大きく変化します。週数ごとに適した運動強度と、気をつけるべきポイントを解説します。
妊娠初期(〜15週):基本は安静。体調が良ければ呼吸法から
妊娠初期は、赤ちゃんの器官形成が進む非常にデリケートな時期です。この時期は基本的に安静を心がけ、激しい運動は避けましょう。
つわりがある場合は無理をせず、体調が悪い日は休むことを最優先にしてください。
体調が比較的安定している日であれば、深い呼吸の練習や、軽いストレッチ程度にとどめるのがおすすめです。ピラティスの胸式呼吸を意識的に行うだけでも、リラックス効果が期待できます。
この時期のポイント:
- 激しい動きや腹圧をかける動きは避ける
- つわりがひどい日は無理をしない
- 呼吸法の練習にとどめるのが安心
妊娠中期(16〜27週):安定期。無理のない範囲で運動不足を解消
一般的に「安定期」と呼ばれるこの時期は、つわりが落ち着き、体調が安定してくる方が多いです。医師の許可があれば、マタニティピラティスを始めるのに適した時期と言えます。
ただし、「安定期=何をしても大丈夫」というわけではありません。お腹が大きくなり始めるこの時期は、仰向けの姿勢を長時間続けると血流が悪くなることがあります(仰臥位低血圧症候群)。仰向けの動きは短時間にとどめ、横向きや四つん這いの姿勢を中心にしたプログラムを選びましょう。
この時期のポイント:
- 週1〜2回程度のペースで無理なく
- 仰向けの姿勢は短時間に
- 体調が良い日のリフレッシュとして取り入れる
- マタニティ専門のクラスやインストラクターを選ぶ
妊娠後期(28〜35週):お腹が張らない範囲でのストレッチ
お腹がさらに大きくなり、動きに制限が出てくる時期です。息切れしやすくなったり、腰痛や足のむくみが気になったりする方も増えてきます。
この時期のピラティスは、身体をほぐすストレッチや、骨盤周りを緩める動きが中心になります。出産に向けて股関節の柔軟性を高めておくことは、分娩時の姿勢を楽にするのに役立つ可能性があります。
ただし、お腹の張りを感じやすい時期でもあるため、少しでも張りを感じたらすぐに休むことが大切です。
この時期のポイント:
- 激しい動きは避け、ストレッチ中心に
- 股関節周りを緩める動きがおすすめ
- お腹の張りを感じたらすぐに休む
- 無理に回数や時間をこなそうとしない
臨月(36週〜):体調第一。いつまで続けるかの判断基準
臨月に入ると、いつ出産になってもおかしくない時期です。ピラティスを続けるかどうかは、より慎重な判断が必要になります。
体調が良く、医師からの制限がなければ、軽いストレッチや呼吸法を続けることは可能です。ただし、「いつまでやるか」は最終的に自分の身体と相談して決めてください。
スタジオに通っている場合は、自宅からの距離や移動手段も考慮しましょう。万が一のことを考えると、自宅から遠いスタジオへの通いはこの時期は控えた方が安心です。
この時期のポイント:
- 体調が良ければ呼吸法やごく軽いストレッチは可能
- 「やらなければ」というプレッシャーは手放す
- 遠方のスタジオへの通いは控える
- 少しでも不安があれば休む
即中止すべきサイン|お腹の張り・出血・胎動の変化
妊娠中のピラティスでは、身体からのサインに敏感になることが非常に重要です。以下のような症状が現れたら、すぐに運動を中止してください。
運動中に「お腹の張り」を感じたら
お腹が硬くなる「張り」は、子宮が収縮しているサインです。軽い張りであれば、横になって安静にすることで落ち着くことが多いですが、運動中に張りを感じたら、その時点で動きを止めてください。
張りが頻繁に起こる場合や、安静にしても治まらない場合は、次の妊婦健診を待たずに医療機関に相談しましょう。
出血や破水の兆候があった場合
運動中または運動後に出血があった場合は、すぐに運動を中止し、医療機関に連絡してください。少量の出血であっても自己判断せず、必ず医師に相談することが大切です。
また、「おりものが水っぽい」「下着が濡れている」と感じた場合は、破水の可能性があります。この場合も、すぐに医療機関に連絡してください。
胎動を感じにくい時の対処法
運動中や運動後に、普段より胎動を感じにくいと感じた場合は、まず横になって安静にしましょう。少し時間を置いて、赤ちゃんの動きを確認してください。
1〜2時間経っても胎動を感じない、または明らかにいつもより動きが少ないと感じる場合は、医療機関に連絡して指示を仰いでください。
妊娠中のピラティスに関するよくある質問
安定期に入ってすぐに始めても大丈夫ですか?
医師の許可があれば、安定期に入ってから始めることは可能です。ただし、いきなり通常のクラスに参加するのではなく、マタニティ専門のクラスやプライベートレッスンから始めることをおすすめします。妊婦さんの身体を理解しているインストラクターのもとで、基礎から学ぶのが安心です。
臨月から始めても意味はありますか?
臨月から新しくピラティスを始めるのは、あまりおすすめしません。身体が慣れていない動きを出産直前に行うことは、かえって負担になる可能性があります。この時期は、深い呼吸の練習や、座ったままできる軽いストレッチ程度にとどめるのが良いでしょう。
逆子がわかったら運動は中止すべきですか?
逆子と診断された場合は、必ず医師に相談してください。運動を続けて良いかどうかは、逆子の状態や週数、その他の経過によって異なります。自己判断で「逆子体操」などを行うことも避け、医師の指示に従いましょう。
毎日の散歩とピラティス、どちらがおすすめですか?
どちらが良いかは一概には言えません。散歩は手軽に行える有酸素運動で、気分転換にもなります。ピラティスは姿勢改善や体幹強化に役立ちます。体調や好みに合わせて選ぶか、両方を組み合わせるのもおすすめです。いずれにしても、無理のない範囲で行うことが大切です。
仕事をしながら通う場合、おすすめの頻度は?
週1回程度でも十分効果は期待できます。仕事と妊娠生活の両立で疲れが溜まりやすい時期でもあるため、「通わなければ」というプレッシャーを感じる必要はありません。体調が良い時に無理なく通えるペースを見つけてください。オンラインレッスンを活用するのも一つの方法です。
まとめ|期間よりも「その日の体調」を最優先に
妊娠中のピラティスは、適切に行えば、体調管理や出産に向けた身体づくりに役立つ可能性があります。しかし、最も大切なのは「いつからいつまでやるか」という期間ではなく、「今日の自分の体調はどうか」という日々の判断です。
妊娠中は、昨日まで元気だったのに今日は調子が悪い、ということが当たり前に起こります。「予約したから」「もったいないから」と無理をするのではなく、身体が休みたいと言っている時は素直に休んでください。
医師の許可を得て、マタニティ専門のインストラクターのもとで、自分のペースで取り組むこと。それが、妊娠中のピラティスを安全に楽しむための一番のポイントです。
