「ピラティスを始めたいけど、朝と夜どっちにやるのがいいの?」「短時間でも効果はあるの?」——そんな疑問をお持ちの方は多いのではないでしょうか。
結論から言えば、朝と夜では「やるべき動き」がまったく異なります。朝は身体を目覚めさせるためのアクティブな動き、夜は心身をリラックスさせるためのゆったりとした動きが効果的です。
この記事では、朝と夜それぞれに適したピラティスの考え方と、たった10分でできる具体的なメニューをご紹介します。忙しい毎日でも無理なく続けられるルーティンを、ぜひ取り入れてみてください。
- 朝と夜でピラティスのやり方を変えるべき理由
- 朝の10分で身体をシャキッと目覚めさせる方法
- 夜の10分で一日の疲れをリセットし、ぐっすり眠れる身体を作る方法
- 忙しくてもピラティスを習慣化するコツ
時間帯によって「やるべき動き」は真逆になる

ピラティスは「いつやっても同じ」ではありません。朝と夜では、身体が求めているものが正反対だからです。この違いを理解することで、ピラティスの効果を最大限に引き出すことができます。
朝:交感神経をONにする「胸式呼吸」と背骨の覚醒
朝は、睡眠中に優位だった副交感神経から、活動モードの交感神経へと切り替えるタイミングです。
ピラティス特有の「胸式呼吸」は、肋骨を横に広げるように息を吸うことで、交感神経を適度に刺激します。頭がすっきりと覚醒し、一日を活動的にスタートする準備が整います。
また、睡眠中は長時間同じ姿勢でいるため、背骨が固まりやすくなっています。朝のピラティスでは、背骨を丁寧に動かして可動域を取り戻すことが大切です。これにより、血流が促進され、身体全体が目覚めていきます。
朝のピラティスは「アクティブに動いて、身体のスイッチを入れる」ことが目的です。
夜:副交感神経をONにする「ゆったり呼吸」と筋膜リリース
夜は、日中の活動で高まった交感神経を鎮め、副交感神経を優位にして身体を休息モードへと導くタイミングです。
夜のピラティスでは、胸式呼吸よりもゆったりとした深い呼吸を意識します。吐く息を長くすることで、副交感神経が優位になり、心拍数が落ち着いていきます。
また、一日の終わりには、デスクワークやスマホ操作で固まった筋肉や筋膜をほぐすことが重要です。特に股関節周りや背骨のねじりを取り入れることで、身体の歪みをリセットし、質の良い睡眠につなげることができます。
夜のピラティスは「ゆっくり動いて、身体を休息モードに切り替える」ことが目的です。
【実践】目覚めの朝ピラティス(10分メニュー)
ここからは、朝におすすめの10分メニューをご紹介します。ベッドの上でもできる動きから始めるので、起き上がる前の習慣にしやすいです。
①寝たまま深呼吸で身体を起こす準備(2分)
まずは仰向けのまま、ゆっくりと深呼吸を行います。
膝を立てて足の裏を床につけ、手はお腹の上に置きます。鼻から息を吸って肋骨を横に広げ、口から「ハー」と吐き出します。これを5〜6回繰り返します。
睡眠中に浅くなっていた呼吸を深め、身体に「これから動くよ」という信号を送る準備運動です。急に起き上がるのではなく、呼吸から始めることで、身体への負担を減らせます。
②骨盤傾斜(ペルビックティルト)で腰を目覚めさせる(2分)
仰向けのまま、膝を立てた状態で骨盤を前後に傾ける動きを行います。
息を吐きながら、おへそを背骨に近づけるように骨盤を後傾させ、腰を床に押し付けます。息を吸いながら、骨盤を前傾させ、腰と床の間に自然な隙間を作ります。
この動きを8〜10回繰り返します。睡眠中に固まった腰椎(腰の部分)を優しく動かし、血流を促進します。腰痛持ちの方にもおすすめの、負担の少ないウォームアップです。
③キャット&カウで背骨を波打たせる(3分)
四つん這いになり、背骨を丸めたり反らせたりする動きを行います。
息を吐きながら、背中を天井に向けて丸め、おへそを覗き込むようにします(キャット)。息を吸いながら、背中を反らせて胸を開き、顔を正面に向けます(カウ)。
この動きを8〜10回繰り返します。背骨を一つひとつ動かすイメージで行うと、より効果的です。朝の硬くなった背骨に可動性を取り戻し、姿勢を整える準備ができます。
④チェストオープナーで胸を開いて一日をスタート(3分)
横向きに寝て、上側の腕を大きく開く動きを行います。
膝を軽く曲げて重ね、両腕を前に伸ばして手のひらを合わせます。息を吸いながら、上側の腕を天井を通って反対側へ大きく開きます。目線は動く手を追いかけます。息を吐きながら、元の位置に戻します。
左右それぞれ5回ずつ行います。デスクワークやスマホ操作で丸まりがちな胸を開き、呼吸を深めます。胸が開くと気持ちも前向きになり、一日を活動的にスタートできます。
【実践】熟睡のための夜ピラティス(10分メニュー)
続いて、夜におすすめの10分メニューをご紹介します。ベッドの上でもできるので、寝る前の習慣にしやすいです。
①仰向けで深呼吸|一日の緊張を手放す(2分)
仰向けに寝て、両膝を立てた状態で深呼吸を行います。
朝の胸式呼吸とは異なり、夜はお腹も軽く膨らませるような、ゆったりとした呼吸を意識します。吸う息よりも吐く息を長くすることで、副交感神経が優位になります。
4秒で吸い、6〜8秒かけてゆっくり吐く。これを5〜6回繰り返します。日中の緊張やストレスを、息と一緒に吐き出すイメージで行いましょう。
②ニーロッキングで股関節を緩める(3分)
仰向けのまま、両膝を胸に抱え込む動きを行います。
両手で膝を抱え、左右にゆらゆらと小さく揺らします。腰が床に沈み込むような感覚を味わいながら、股関節周りの緊張をほぐしていきます。
1分ほど揺らした後、片膝ずつ胸に引き寄せる動きも加えます。左膝を抱えて5秒キープ、右膝を抱えて5秒キープ。これを2〜3セット繰り返します。
座りっぱなしで硬くなった股関節を緩めることで、腰への負担も軽減されます。
③スパインツイストで背骨の歪みをリセット(3分)
仰向けで膝を立て、両膝を左右に倒すねじりの動きを行います。
両腕は肩の高さで横に広げ、手のひらを上に向けます。息を吐きながら両膝を右に倒し、顔は左を向きます。息を吸いながら中央に戻り、反対側も同様に行います。
左右交互に5回ずつ、ゆっくりと行います。一日の姿勢の偏りで生じた背骨の歪みをリセットし、身体の左右バランスを整えます。
④チャイルドポーズで身体を丸めてフィニッシュ(2分)
正座の状態から上体を前に倒し、おでこを床につけるポーズです。
両腕は前に伸ばすか、身体の横に沿わせてリラックスします。ゆっくりと深い呼吸を繰り返しながら、背中全体が伸びる感覚を味わいます。
1〜2分間、このポーズでじっくりと呼吸します。身体を丸めることで安心感が生まれ、副交感神経がさらに優位になります。このまま眠りにつく準備が整います。
朝・夜ピラティスを習慣にするコツ
「続けたいけど、三日坊主になりそう」という方も多いのではないでしょうか。ここでは、朝・夜ピラティスを無理なく習慣にするためのポイントをご紹介します。
「完璧にやろう」としない|5分でもOK
10分のメニューをすべてこなす必要はありません。時間がない日は、呼吸だけでも、1つのエクササイズだけでも大丈夫です。
大切なのは「毎日完璧にやること」ではなく「途切れても再開すること」。5分でも身体を動かせば、その日のピラティスは成功です。
ハードルを下げることで、続けやすくなります。
既存の習慣とセットにする(if-thenルール)
新しい習慣を定着させるコツは、すでに習慣化されている行動とセットにすることです。
たとえば「朝、目が覚めたら(if)、ベッドの上で呼吸と骨盤傾斜をやる(then)」「夜、歯を磨いたら(if)、ベッドでスパインツイストをやる(then)」といった具合です。
既存の習慣にくっつけることで、「やらなきゃ」と思い出す必要がなくなり、自然と続けられるようになります。
週末だけでも効果はある
毎日やるのが難しければ、週末だけでも効果はあります。「土日の朝は10分だけピラティス」と決めておくだけでも、身体は確実に変わっていきます。
平日は忙しくて無理、という方も、まずは週末から始めてみてください。余裕が出てきたら、平日にも少しずつ取り入れていけばOKです。
朝・夜ピラティスに関するよくある質問
食後すぐにやっても大丈夫ですか?
食後すぐは避けた方が良いでしょう。消化にエネルギーが使われている時間帯に運動をすると、消化不良を起こしやすくなります。食後2時間程度空けるのが理想です。朝食前や、夕食の2時間後がおすすめです。
お風呂上がりと寝る直前、どちらが良いですか?
夜ピラティスの場合、お風呂上がりがおすすめです。入浴で温まった身体は筋肉がほぐれやすく、ストレッチ効果が高まります。寝る直前でも問題ありませんが、激しく動くと逆に目が覚えてしまうことがあるため、ゆったりとした動きを心がけてください。
朝起きられないのですが、昼でもいいですか?
もちろん大丈夫です。「朝ピラティス」の目的は「身体を活動モードに切り替えること」なので、昼でも同様の効果が期待できます。昼食前や、午後の眠気を感じる前に行うと、リフレッシュ効果もあります。自分のライフスタイルに合わせて、無理のない時間帯を選んでください。
毎日同じメニューで飽きませんか?
飽きを感じたら、エクササイズの順番を変えたり、新しい動きを1つ加えたりしてみてください。ただ、ピラティスは「同じ動きを繰り返すことで上達する」という特性があります。飽きたと感じる頃には、身体の使い方が上手くなっているはずです。「飽きた」を「慣れた」と捉えて、動きの質を高めることに意識を向けてみてください。
生理中はどうすればいいですか?
生理中でも、体調が良ければピラティスを行って問題ありません。むしろ、軽い運動は血行を促進し、生理痛の緩和に役立つこともあります。ただし、強い腹圧をかける動きや逆転系のポーズは避け、ゆったりとしたストレッチ系の動きを中心に行いましょう。つらい日は無理せず休むことも大切です。
まとめ|歯磨きのように、ピラティスを生活の一部に
朝のピラティスは、身体を目覚めさせ、一日を活動的にスタートするためのもの。夜のピラティスは、心身をリラックスさせ、質の良い睡眠につなげるためのもの。時間帯によって目的が異なるからこそ、やるべき動きも変わってきます。
どちらも10分あれば十分です。完璧にやろうとせず、できる範囲で続けることが大切です。歯磨きのように、毎日当たり前に身体を動かす習慣が身につけば、心身のコンディションは確実に変わっていきます。
まずは今夜、ベッドの上で深呼吸から始めてみてください。明日の朝、目覚めたら背骨を動かしてみてください。小さな一歩が、身体を変える大きなきっかけになります。
