「マシンピラティス」と聞くと、多くの方が「リフォーマー」を思い浮かべるのではないでしょうか。実際、リフォーマーは最も普及しているピラティスマシンであり、多くのスタジオで導入されています。
しかし、ピラティスマシンはリフォーマーだけではありません。キャデラック、チェア、バレルなど、それぞれ異なる特徴を持つマシンが存在し、目的や身体の状態に応じて使い分けることで、より効果的なトレーニングが可能になります。
この記事では、ピラティスマシンの種類と特徴、それぞれの効果的な使い方を詳しく解説します。スタジオ選びの参考にもなりますので、ぜひ最後までご覧ください。
- ピラティスマシンが持つ「補助」と「負荷」の役割
- 主要なピラティスマシンの種類と特徴
- 各マシンで期待できる効果
- 自分に合ったマシンの選び方
ピラティスマシン(イクイップメント)の役割とは?

ピラティスマシンは、単なるトレーニング器具ではありません。正しい動きを導き、身体の可能性を引き出すための「ガイド」としての役割を持っています。
ベッドのスプリングから始まった発明
ピラティスマシンの歴史は、第一次世界大戦中にさかのぼります。創始者ジョセフ・ピラティスは、収容所で負傷した兵士たちのリハビリを担当していました。そこで彼は、ベッドのスプリングを改造してリハビリ用の器具を考案しました。
これが、現在のリフォーマーの原型です。ベッドに寝たまま運動ができるこの器具は、身体が弱っている人でも無理なく動けるように設計されていました。
その後、ジョセフはニューヨークでスタジオを開設し、さまざまなマシンを開発。現在使われているピラティスマシンの多くは、彼が考案したものがベースになっています。
「補助(アシスト)」と「負荷(レジスタンス)」の二面性
ピラティスマシンの最大の特徴は、スプリング(バネ)による「補助」と「負荷」の両方を提供できることです。
補助(アシスト)としての役割: 筋力が弱い方や身体が硬い方でも、スプリングのサポートを借りて正しいポジションで動くことができます。本来なら難しい動きも、マシンの助けを借りれば無理なく行えます。
負荷(レジスタンス)としての役割: スプリングの強さを上げれば、筋肉により大きな負荷をかけることができます。上級者は、この負荷を利用して高強度のトレーニングを行います。
このように、同じマシンでも設定を変えることで、初心者から上級者まで幅広いレベルに対応できるのがピラティスマシンの優れた点です。
【一覧表】ピラティスマシンの種類と特徴
主要なピラティスマシンを一覧で確認しましょう。
| マシン名 | 主な特徴 | 得意な部位・効果 | 難易度 | 普及度 |
|---|---|---|---|---|
| リフォーマー | スライド式の台で全身運動 | 全身・脚のライン・体幹 | 初級〜上級 | ★★★★★ |
| キャデラック | ベッド型で多様なアタッチメント | 背骨の柔軟性・肩周り | 初級〜上級 | ★★★☆☆ |
| チェア | 椅子型でコンパクト | 脚力・バランス・体幹 | 中級〜上級 | ★★★☆☆ |
| ラダーバレル | はしご付きのアーチ型 | 背骨の伸展・側屈 | 中級〜上級 | ★★☆☆☆ |
| スパインコレクター | 小型のアーチ型 | 姿勢改善・背骨の柔軟性 | 初級〜中級 | ★★☆☆☆ |
それぞれのマシンについて、詳しく見ていきましょう。
万能の王様「リフォーマー」

リフォーマーは、最も広く普及しているピラティスマシンです。「マシンピラティス」と言えば、まずこのリフォーマーを指すことがほとんどでしょう。
リフォーマーの特徴と構造
リフォーマーは、レールの上を滑る「キャリッジ」と呼ばれる台、それを支える「スプリング」、手足を引っ掛ける「ストラップ」、足を置く「フットバー」などで構成されています。
キャリッジがスプリングの力で動くため、身体を安定させながら滑らかに動くことが求められます。寝た姿勢、座った姿勢、立った姿勢など、さまざまなポジションでエクササイズが可能で、一台で数百種類もの動きができると言われています。
スプリングの本数や強さを変えることで、負荷を細かく調整できるため、初心者から上級者まで幅広く対応できます。
期待できる効果
リフォーマーは「万能」と呼ばれるだけあり、全身をバランスよく鍛えることができます。
全身の筋力強化: 体幹はもちろん、腕、脚、背中など全身の筋肉を使うエクササイズが豊富です。
脚のラインを整える: フットワークと呼ばれる脚のエクササイズは、太ももの前側だけでなく、内もも、裏もも、お尻までバランスよく使えます。脚のラインを整えたい方に人気があります。
姿勢改善・体幹強化: 不安定なキャリッジの上で動くため、常に体幹を使ってバランスを取る必要があります。続けることで、自然と姿勢が整っていきます。
圧倒的な安定感「キャデラック(トラピーズテーブル)」
キャデラック(またはトラピーズテーブル)は、ベッドのような形をした大型のマシンです。ジョセフ・ピラティスが最初に考案したマシンに最も近い形と言われています。
空中芸のようなダイナミックな動きも可能
キャデラックの特徴は、ベッドの上部に設置されたフレームと、そこに取り付けられた多様なアタッチメントです。トラピーズバー、プッシュスルーバー、レッグスプリング、アームスプリングなど、さまざまな器具を使い分けることで、多彩なエクササイズが可能になります。
ベッドに寝たままの安定した姿勢から、まるで空中芸のようなダイナミックな動きまで、幅広いエクササイズに対応できます。リハビリ目的から高強度トレーニングまで、あらゆるレベルに対応できる懐の深さが魅力です。
特に効果的な部位
背骨の柔軟性: キャデラックには、背骨を一つひとつ動かすエクササイズが豊富にあります。猫背や反り腰など、背骨の歪みを整えたい方に特に効果的です。
肩周りの可動域: アームスプリングやプッシュスルーバーを使ったエクササイズは、肩甲骨の動きを改善し、肩こりの緩和にもつながります。
リハビリ・高齢者向け: ベッドに寝たまま安定した姿勢で動けるため、リハビリ目的や高齢者の運動にも適しています。
安定と不安定の融合「チェア(ワンダチェア)」
チェア(ワンダチェアとも呼ばれます)は、その名の通り椅子のような形をしたコンパクトなマシンです。見た目はシンプルですが、実は非常に難易度の高いエクササイズが多いマシンでもあります。
省スペースながら強度の高いトレーニング
チェアは、座面とスプリングで動くペダルで構成されています。リフォーマーやキャデラックと比べて小型なので、省スペースで設置できるのが特徴です。
しかし、サイズが小さいからといって簡単というわけではありません。支持面が狭いため、バランスを取るのが難しく、体幹が試されます。座った状態、立った状態、横向きなど、さまざまなポジションでペダルを踏むエクササイズは、見た目以上にハードです。
期待できる効果
脚力強化: ペダルを踏む動作は、太もも、ふくらはぎ、お尻など下半身の筋肉を効果的に鍛えます。
バランス能力の向上: 不安定な状態でバランスを取りながら動くため、体幹とバランス能力が同時に鍛えられます。
日常動作の改善: 立ち上がる、階段を上るなど、日常生活で使う動きに近いエクササイズが多いため、実生活での動作改善にもつながります。
姿勢改善のスペシャリスト「バレル系マシン」
バレル系マシンは、アーチ(弧)形状を活かして背骨の動きを引き出すことに特化したマシンです。代表的なものに「ラダーバレル」と「スパインコレクター」があります。
ラダーバレルの特徴と効果
ラダーバレル(Ladder Barrel)は、大きなアーチ型のバレルと、はしご(ラダー)が組み合わさったマシンです。
アーチの上に仰向けや横向きになることで、背骨を大きく伸展(反らせる)したり、側屈(横に曲げる)したりする動きが可能になります。日常生活では使いにくい背骨の動きを引き出し、柔軟性を高めます。
期待できる効果:
- 背骨の柔軟性向上
- 猫背・巻き肩の改善
- 体側(脇腹)のストレッチ
- 股関節の可動域拡大
スパインコレクターの特徴と効果
スパインコレクター(Spine Corrector)は、ラダーバレルよりも小型で、アーチ部分のみで構成されたマシンです。「アーク」や「ステップバレル」と呼ばれることもあります。
コンパクトなので多くのスタジオで導入されており、マットエクササイズの補助として使われることもあります。
期待できる効果:
- 姿勢改善(特に胸椎の可動域)
- 背骨の伸展・屈曲のサポート
- 腹筋エクササイズの補助
- 呼吸の深化
背骨を反らせる動きが苦手な方や、デスクワークで背中が丸まりがちな方に特におすすめです。
ピラティスマシンに関するよくある質問
初心者におすすめのマシンはどれですか?
初心者には「リフォーマー」がおすすめです。最も普及しているマシンで、多くのスタジオで体験できます。スプリングの調整で難易度をコントロールしやすく、全身をバランスよく鍛えられるため、ピラティスの基礎を学ぶのに最適です。
身体が硬い方やリハビリ目的の方には、安定感のある「キャデラック」も良い選択肢です。
リフォーマーだけのスタジオでも効果はありますか?
リフォーマーだけでも十分な効果は得られます。リフォーマーは「万能マシン」と呼ばれるほど多彩なエクササイズが可能で、全身をバランスよく鍛えることができます。
ただし、背骨の柔軟性を高めたい場合はバレル系マシン、脚力やバランス力を強化したい場合はチェアなど、目的に応じて他のマシンも取り入れると、より効果的です。
自宅にマシンを購入することはできますか?
購入自体は可能です。リフォーマーは家庭用のコンパクトなモデルも販売されており、価格は20万円〜100万円程度です。
ただし、正しい使い方を知らないまま自己流で行うと、効果が出にくかったり、身体を痛めたりするリスクがあります。まずはスタジオでインストラクターから基礎を学び、ある程度の経験を積んでから検討することをおすすめします。
また、設置スペースの確保やメンテナンスも必要なので、購入前によく検討してください。
マシンピラティスは体が硬くてもできますか?
体が硬くても問題なくできます。むしろ、マシンピラティスは体が硬い方にこそおすすめです。
スプリングの補助を使えば、可動域が狭くても正しいポジションで動くことができます。無理に伸ばす必要がないため、安全に取り組めます。続けることで、少しずつ柔軟性も向上していきます。
すべてのマシンを体験できるスタジオはありますか?
リフォーマー、キャデラック、チェア、バレルなど、複数のマシンを揃えている「フルイクイップメント」のスタジオは存在します。ただし、都市部が中心で、数は限られています。
多くのスタジオはリフォーマーを中心に、いくつかのマシンを揃えています。体験したいマシンがある場合は、事前にスタジオの設備を確認することをおすすめします。
まとめ|自分に合ったマシンがあるスタジオを探してみよう
ピラティスマシンには、リフォーマー、キャデラック、チェア、バレルなど、さまざまな種類があります。それぞれ異なる特徴を持ち、得意とする効果も異なります。
リフォーマーは、全身をバランスよく鍛えられる万能マシン。初心者から上級者まで幅広く対応できます。
キャデラックは、背骨の柔軟性や肩周りの改善に効果的。リハビリ目的にも適しています。
チェアは、脚力とバランス能力を鍛えるのに最適。コンパクトながら高強度のトレーニングが可能です。
バレル系マシンは、姿勢改善のスペシャリスト。猫背や巻き肩を改善したい方におすすめです。
どのマシンが自分に合うかは、目的や身体の状態によって異なります。まずは体験レッスンを受けて、実際に動いてみることが一番の近道です。興味のあるマシンを揃えているスタジオを探して、ピラティスの世界を体験してみてください。

