「ピラティスって最近よく聞くけど、実際どんな運動なの?」「ヨガと何が違うの?」——そんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
ピラティスは、もともとリハビリから生まれた「全身の調整法」です。激しく動くわけではないのに、姿勢改善や体幹強化、肩こり・腰痛の緩和まで、さまざまな効果が期待できるエクササイズとして、幅広い世代から支持されています。
この記事では、ピラティスの基本から効果、種類、ヨガとの違い、始める前に知っておきたいことまで、初心者の方が押さえておくべきポイントを網羅的に解説します。
- ピラティスとは何か、その歴史と基本的な考え方
- ピラティスで期待できる5つの効果
- マットピラティスとマシンピラティスの違い
- ヨガとピラティスの違いと自分に合った選び方
- 初心者がピラティスを始める前に知っておくべきこと
ピラティスとは何か?リハビリから生まれた「全身の調整法」

ピラティスは、身体の深層にある筋肉(インナーマッスル)を鍛えながら、全身のバランスを整えていくエクササイズです。単に筋力を高めるだけでなく、姿勢や動きの質そのものを改善していくことに重点が置かれています。
発祥の歴史と創始者ジョセフ・ピラティスの理念
ピラティスは、1880年代にドイツで生まれたジョセフ・ピラティスによって考案されました。彼は幼少期、喘息やくる病など複数の病気を抱える病弱な少年でした。しかし、その経験が「自分の身体を自分でコントロールする」という強い意志を育み、独自のエクササイズ法の開発へとつながっていきます。
第一次世界大戦中、ジョセフは収容所で負傷した兵士たちのリハビリを担当することになります。そこでベッドのスプリングを活用した運動器具を考案しました。これが現在のリフォーマー(ピラティス専用マシン)の原型です。
彼はこのメソッドを「コントロロジー(Contrology)」と名付けました。これは「身体と心を、意志の力でコントロールする技術」という意味です。ピラティスは単なる筋トレではなく、呼吸と動きを連動させながら心身を統合していくメソッドとして生まれました。
ヨガや筋トレとは異なる「インナーマッスル」へのアプローチ
ピラティスの最大の特徴は、身体の奥深くにあるインナーマッスル(深層筋)にアプローチすることです。
一般的な筋トレでは、腕や脚、腹筋など目に見える大きな筋肉(アウターマッスル)を鍛えることが多いですよね。一方、ピラティスでは「パワーハウス」と呼ばれる体幹部を意識的に使いながら動きます。パワーハウスとは、腹横筋、骨盤底筋群、多裂筋などを含む胴体の深層部分のこと。姿勢を内側から支える「天然のコルセット」のような役割を果たしています。
パワーハウスが強化されると、背骨が安定し、日常の動作がスムーズになり、腰への負担も軽減されやすくなります。
ピラティスが現代人に支持される理由
デスクワークやスマートフォンの普及により、現代人の多くが「座りすぎ」「前かがみ」の生活を送っています。その結果、猫背やストレートネック(スマホ首)、慢性的な肩こり・腰痛に悩む人が増えています。
ピラティスは、こうした現代特有の身体の歪みにアプローチできるエクササイズとして注目されています。激しく動く必要がないため運動が苦手な方でも始めやすく、週1〜2回のレッスンでも効果を実感しやすいことから、忙しい方にも支持されています。
「根本から身体を整えたい」「無理なく続けられる運動を探している」——そんな方にとって、ピラティスは有力な選択肢のひとつと言えるでしょう。
ピラティスの5大効果|身体と心の変化
ピラティスを続けることで期待できる効果はさまざまですが、ここでは特に実感しやすい5つの変化をご紹介します。
姿勢改善・骨盤矯正(猫背・反り腰の解消)
ピラティスは、背骨や骨盤のポジションを意識しながら行うエクササイズです。繰り返し正しいアライメント(身体の配置)を練習することで、猫背や反り腰といった姿勢の崩れが少しずつ改善されていきます。
姿勢が整うと、見た目の印象が良くなるだけでなく、呼吸がしやすくなったり、首や肩への負担が軽減されたりと、さまざまな恩恵があります。
詳しくは姿勢改善・骨盤矯正に関する記事で詳しく解説しています。
インナーマッスル強化によるボディラインの引き締め
ピラティスでパワーハウスを鍛えると、お腹周りや腰回りが内側から引き締まってきます。体重が大きく変わらなくても、ウエストラインがすっきりしたり、下腹部のぽっこりが目立ちにくくなったりする方も少なくありません。
表面的な筋肉を大きくするのではなく、身体の軸を強くすることでシルエットが変わる——これがピラティスならではのボディメイク効果です。
肩こり・腰痛など慢性的な不調の緩和
肩こりや腰痛の原因の多くは、姿勢の崩れや筋肉のアンバランスにあります。ピラティスでは、硬くなった筋肉をほぐしながら弱い部分を強化し、身体全体のバランスを整えていきます。
特に、デスクワークで固まりやすい胸椎(背中の中央部分)の可動性を高める動きが多く含まれているため、肩や首の緊張が和らいだという声も多く聞かれます。
詳しくは肩こり・腰痛対策についての記事で解説しています。
基礎代謝アップと太りにくい体づくり
インナーマッスルは、姿勢を維持するために日常的に使われる筋肉です。パワーハウスが強化されると、普段の生活の中でもエネルギー消費が増え、基礎代謝がアップしやすくなります。
「激しい運動をしなくても太りにくくなった」「食事制限なしでも体型を維持できるようになった」と感じる方がいるのは、この代謝向上の効果によるところが大きいでしょう。
自律神経を整えるメンタルケア効果
ピラティスでは、動きと呼吸を連動させることを非常に大切にしています。集中して身体を動かす時間は、日常のストレスや雑念から離れる「動く瞑想」のような効果をもたらします。
胸式呼吸を意識的に行うことで、交感神経と副交感神経のバランスが整い、終わった後はリフレッシュした気分になる方が多いようです。心身の調和を重視するピラティスは、メンタルケアの手段としても注目されています。
ピラティスのメンタル効果に関する記事もありますので是非あわせてご覧ください。
ピラティスの種類|マットとマシンの違いをざっくり理解
ピラティスには、大きく分けて「マットピラティス」と「マシンピラティス」の2種類があります。どちらも同じ原則に基づいていますが、使う道具やアプローチに違いがあります。
手軽に始められる「マットピラティス」
マットピラティスは、その名の通りマット1枚あれば行えるピラティスです。自分の体重を負荷として使い、床の上でさまざまなエクササイズを行います。
特別な器具が不要なため、スタジオでのグループレッスンはもちろん、自宅でのセルフトレーニングにも適しています。ヨガマットがあれば始められるという手軽さが魅力です。
ただし、サポートがない分、正しいフォームを維持するには一定の体幹力が必要になります。初心者の場合、インストラクターの指導を受けながら基本を身につけることをおすすめします。
詳しくはマットとマシンの違いの記事で解説しています。
器具のサポートで効果を高める「マシンピラティス」
マシンピラティスでは、リフォーマー、キャデラック、チェアなどの専用器具を使用します。これらの器具は、スプリングやストラップで負荷や補助を調整できるため、一人ひとりの身体の状態に合わせたトレーニングが可能です。
マシンの補助があることで、身体が硬い方や筋力に自信がない方でも、無理なく正しい動きを体感しやすくなります。逆に、負荷を上げることで上級者にとっても高いトレーニング効果が得られます。
器具を使うことで「どこに効いているか」が分かりやすいのも、マシンピラティスの利点です。身体への意識を高めながら効率よくトレーニングしたい方に向いています。
初心者はどちらから始めるべき?
結論から言えば、初心者の方には「マシンピラティス」からのスタートをおすすめすることが多いです。
理由は、マシンの補助によって正しいフォームを身につけやすく、身体への負担も調整しやすいため。特にプライベートレッスンであれば、インストラクターがあなたの身体の状態を見ながら、最適な動きを教えてくれます。
もちろん、マットピラティスが悪いわけではありません。スタジオへのアクセスや予算、グループで楽しみたいかどうかなど、ご自身のライフスタイルに合わせて選んでみてください。
身体が硬くてピラティスができるか不安な方向けの記事もありますので気になる方はぜひご覧ください。
ピラティスとヨガの違い|目的と呼吸法

「ピラティスとヨガ、どう違うの?」という疑問は、初心者の方からよくいただきます。どちらも心身を整えるエクササイズですが、その成り立ちや目的、アプローチには違いがあります。
「動く瞑想」ピラティスと「静止と呼吸」のヨガ
ピラティスは、リハビリから発展した「身体機能の改善」が主目的のメソッドです。呼吸と動きを連動させながら、インナーマッスルを鍛え、身体のアライメントを整えていきます。「動く瞑想」とも呼ばれ、集中して身体を動かすことでマインドフルネス効果も得られます。
一方、ヨガは古代インドで生まれた「心身の統合」を目指す修行法がルーツです。ポーズ(アーサナ)を静止した状態で保持し、呼吸を深めながら内観していきます。精神的な側面——心の平穏やスピリチュアルな成長——を重視する点が特徴です。
胸式呼吸(交感神経)と腹式呼吸(副交感神経)
呼吸法にも違いがあります。
ピラティスでは主に「胸式呼吸(ラテラル呼吸)」を使います。これは肋骨を横に広げるように息を吸う方法で、体幹を安定させたまま動くことができます。交感神経を適度に刺激するため、頭がすっきりとして集中力が高まりやすくなります。
ヨガでは「腹式呼吸」が基本です。お腹を膨らませるように深く吸い、ゆっくり吐くことで副交感神経が優位になり、リラックス効果が得られます。
どちらが優れているというものではなく、目的や求める効果によって使い分けるものと考えると良いでしょう。
詳しくは胸式呼吸(ラテラル呼吸)の記事で解説しています。
向いている人の違い
ピラティスが向いているのは、「身体を整えたい」「姿勢を改善したい」「体幹を鍛えたい」といった、身体面での具体的な目標がある方です。論理的に身体を動かすことが好きな方にもフィットしやすいでしょう。
ヨガが向いているのは、「心を落ち着けたい」「リラックスしたい」「自分と向き合う時間が欲しい」といった、精神面での効果を求める方です。静かに自分の内面を見つめたい方に向いています。
もちろん、両方を組み合わせている方も多くいます。迷ったら、まずはどちらも体験してみて、自分に合う方を選ぶのがおすすめです。
ピラティス・ヨガ・ジムの比較は「ピラティス・ヨガ・ジムの違いと選び方|初心者向けに徹底比較!」で詳しく解説しています。の良いところを取り入れたスタジオもありますよ。
ピラティスを始める前に知っておきたい基本

ピラティスに興味を持ったら、実際に始める前に押さえておきたいポイントがあります。
効果が出るまでの期間・頻度の目安
ピラティスの創始者ジョセフ・ピラティスは、こんな言葉を残しています。
「10回で気分が変わり、20回で見た目が変わり、30回ですべてが変わる」
これはあくまで目安ですが、週1〜2回のペースで続けた場合、1〜2ヶ月ほどで身体の変化を感じ始める方が多いようです。姿勢の改善や肩こりの軽減など、まずは日常生活の中での「なんとなく調子がいい」という実感から始まることが多いです。
大切なのは、無理なく継続すること。週1回でも、長く続けることで確実に身体は変わっていきます。
詳しくは効果が出るまでの期間とその頻度に関する記事で解説しています。
服装や持ち物の基本
ピラティスでは、身体のラインが分かる動きやすい服装が基本です。ゆったりしすぎる服は、インストラクターがフォームを確認しにくかったり、マシンに巻き込まれたりするリスクがあるため避けた方が無難です。
一般的な持ち物は、動きやすいウェア、タオル、水分補給用の飲み物です。スタジオによってはウェアやタオルのレンタルがあるところも多いので、体験レッスンの際は事前に確認しておくと安心です。
靴下については、裸足またはグリップ付きソックス(滑り止めがついた専用靴下)が基本です。スタジオによって方針が異なるため、こちらも確認してみてください。
詳しくは体験レッスンの準備についての記事で解説しています。
スタジオ選びで失敗しないためのポイント
ピラティススタジオは、大手チェーンから個人経営まで、さまざまなタイプがあります。選ぶ際のポイントをいくつかご紹介します。
まず確認したいのは「レッスン形式」です。グループレッスンは費用を抑えやすく、仲間と一緒に楽しめるのがメリット。プライベートレッスンは、インストラクターが一対一で指導してくれるため、効率よく上達できます。
次に「マットかマシンか」という点も重要です。前述の通り、初心者にはマシンピラティスのプライベートレッスンがおすすめですが、予算や通いやすさも考慮して選びましょう。
「インストラクターの資格」も確認しておくと安心です。ピラティスにはBASI、PHI、STOTTなど複数の国際資格があります。資格を持ったインストラクターがいるスタジオを選ぶと、より安心して指導を受けられます。
最後に「立地とスケジュール」も見逃せません。継続することが大切なので、通いやすさも重要な要素です。職場や自宅の近くにあるか、レッスン時間が自分のライフスタイルに合うかを確認しておきましょう。
多くのスタジオでは体験レッスンを実施しています。実際に足を運んで、雰囲気やインストラクターとの相性を確かめてみることをおすすめします。
まとめ|まずは体験レッスンで「身体が伸びる感覚」を味わおう
ピラティスは、リハビリから生まれた「身体と心を自分でコントロールする技術」です。インナーマッスルを鍛えながら姿勢を整え、肩こりや腰痛といった不調の根本にアプローチできるエクササイズとして、100年以上にわたり世界中で実践されてきました。
デスクワークやスマートフォンの使用で姿勢が崩れやすい現代において、心身のバランスを整えるピラティスの重要性はこれまで以上に高まっています。
年齢や運動経験を問わず、誰でも自分のペースで始められるのがピラティスの良いところです。「最近、身体が重いな」「姿勢を良くしたいな」と感じたら、それはピラティスを始める絶好のタイミングかもしれません。新しい自分に出会う第一歩を、ぜひここから踏み出してみましょう。




