ピラティスのレッスンを受けた翌日、「お腹がバキバキに痛い」「腰が重い」「首が張っている」——そんな経験はありませんか?
筋肉痛が来ると「効いている証拠」と嬉しくなる反面、「痛い場所が変なのでは?」「フォームが間違っていた?」と不安になることもありますよね。
実は、ピラティス後の筋肉痛には「良い痛み」と「悪い痛み」があります。痛む部位によって、正しく効いているのか、それとも身体の使い方を見直すべきなのかが分かるのです。
この記事では、ピラティスで筋肉痛になる理由から、部位別の判断基準、休むべきかどうかの目安、回復を早めるセルフケアまで、詳しく解説します。
- ピラティス後の筋肉痛が「正常」かどうかの判断基準
- 痛む部位から分かる「良い痛み」と「要注意な痛み」
- 筋肉痛があるときにレッスンに行っていいかの目安
- 筋肉痛を早く回復させるためのセルフケア方法
なぜピラティスで筋肉痛になるのか?
ピラティスは激しく動くエクササイズではありませんが、レッスン後に筋肉痛になる方は少なくありません。その理由を解説します。
筋肉を引き伸ばしながら鍛える「エキセントリック収縮」の負荷
筋肉の収縮には、大きく分けて2つのタイプがあります。筋肉を縮めながら力を入れる「コンセントリック収縮」と、筋肉を伸ばしながら力を入れる「エキセントリック収縮」です。
ピラティスでは、このエキセントリック収縮を多用します。たとえば、ロールダウン(ゆっくり仰向けに戻る動き)では、腹筋を伸ばしながらブレーキをかけるように使います。この「伸ばしながら鍛える」動きは、筋肉への負荷が大きく、筋肉痛を引き起こしやすいと言われています。
ダンベルを持ち上げるよりも、ゆっくり下ろす時の方が筋肉痛になりやすいのと同じ原理です。ピラティスは見た目以上に筋肉を使っているため、筋肉痛が起きるのは自然なことなのです。
普段使っていないインナーマッスルが目覚めた証拠
ピラティスでは、普段の生活ではあまり使われないインナーマッスル(深層筋)を意識的に動かします。腹横筋、多裂筋、骨盤底筋群など、姿勢を内側から支える筋肉たちです。
これらの筋肉は、日常生活では「なんとなく働いている」程度で、しっかり収縮させる機会が少ないもの。ピラティスで初めて意識的に使うと、普段眠っていた筋肉が「目覚めた」状態になり、筋肉痛として現れることがあります。
特に、ピラティスを始めたばかりの頃や、久しぶりにレッスンを受けた時は、この「眠っていた筋肉の目覚め」による筋肉痛が起きやすくなります。
「良い痛み」と「悪い痛み」の見分け方(部位別診断)
筋肉痛がすべて「効いている証拠」とは限りません。痛む部位によって、正しく効いているのか、フォームを見直すべきなのかが分かります。
お腹・裏もも・脇の下の痛み:正しく効いている証拠
以下の部位に筋肉痛がある場合は、ピラティスが正しく効いているサインです。
お腹(特に下腹部や脇腹) 腹横筋や腹斜筋が使われている証拠です。パワーハウスを意識して動けていた可能性が高いでしょう。
裏もも(ハムストリングス) お尻や裏ももを正しく使えている証拠です。ブリッジやレッグワークで、前ももではなく裏側の筋肉を使えていたことを示しています。
脇の下・背中の側面(前鋸筋・広背筋) 肩甲骨を正しいポジションで安定させながら動けていた証拠です。腕を使う動きで、肩ではなく体幹を使えていたと言えます。
これらの部位の筋肉痛は、ピラティスで鍛えたい筋肉がしっかり働いた証拠。「効いている!」と喜んでいい痛みです。
腰・首・前ももの痛み:フォームが崩れて代償動作が起きている可能性
一方、以下の部位に痛みがある場合は、フォームを見直した方がいいかもしれません。
腰 腰に筋肉痛がある場合、本来パワーハウス(腹横筋・多裂筋など)で支えるべき動きを、腰の筋肉で代償していた可能性があります。特に反り腰の方は、腰に負担がかかりやすいので注意が必要です。痛みが続く場合は、インストラクターにフォームを確認してもらいましょう。
首 首に筋肉痛がある場合、腹筋を使う動き(チェストリフトなど)で頭を持ち上げる時に、腹筋ではなく首の力で起き上がっていた可能性があります。「顎を引いて、肩と耳を遠ざける」という意識が抜けていたかもしれません。
前もも(大腿四頭筋) 前ももがパンパンに張っている場合、お尻や裏ももで行うべき動きを、前ももで代償していた可能性があります。特にスクワット系の動きやフットワークで起きやすいです。股関節を正しく使えていない可能性があるため、インストラクターに相談することをおすすめします。
これらの「悪い痛み」は、身体が「違う場所で頑張ってしまった」というサインです。次回のレッスンでフォームを意識したり、インストラクターに相談したりして、改善していきましょう。
筋肉痛の時は休むべき?続けるべき?
筋肉痛がある状態で、次のレッスンに行っていいのか迷う方も多いでしょう。判断の目安をお伝えします。
激痛で生活に支障がある場合:2〜3日は完全休養
「階段を下りるのがつらい」「咳をするとお腹が痛い」「腕を上げるのがきつい」——このレベルの筋肉痛がある場合は、2〜3日は完全に休養を取りましょう。
これは筋肉が修復の真っ最中であるサインです。この期間にしっかり休むことで、筋肉は以前より強く再生されます(超回復)。無理にレッスンを受けると、修復が追いつかず、かえって回復が遅れたり、怪我のリスクが高まったりします。
この期間は、軽いストレッチや入浴で血流を促す程度にとどめ、身体を休ませてください。
軽い張り・重だるさの場合:軽めのピラティスで血流を促す
「なんとなく筋肉が張っている」「少し重だるい」——このレベルの筋肉痛であれば、レッスンに参加しても大丈夫です。
むしろ、軽めのピラティスで身体を動かすことで、血流が促進され、回復が早まることもあります。これを「アクティブレスト(積極的休養)」と呼びます。
ただし、いつもより強度を落とすことが大切です。インストラクターに「筋肉痛があるので、今日は軽めにしたい」と伝えておくと、動きを調整してもらえます。
早く回復させるためのセルフケア
筋肉痛を少しでも早く回復させるために、日常でできるセルフケアをご紹介します。
タンパク質とビタミンB群の摂取
筋肉の修復には、材料となるタンパク質が欠かせません。レッスン後は、肉・魚・卵・大豆製品・乳製品など、タンパク質を意識して摂りましょう。
また、タンパク質の代謝を助けるビタミンB群(豚肉、レバー、卵、納豆など)を一緒に摂ると、より効率的に筋肉が修復されます。
レッスン直後から2時間以内は、特にタンパク質の吸収率が高まると言われています。プロテインドリンクを活用するのも一つの方法です。
入浴とストレッチのタイミング
筋肉痛がある時は、ぬるめのお湯(38〜40度程度)にゆっくり浸かることで、血流が促進され、回復が早まります。熱すぎるお湯は炎症を悪化させる可能性があるため、避けた方が無難です。
ストレッチは、入浴後の身体が温まっている時に行うのがおすすめです。ただし、筋肉痛がひどい時に無理に伸ばすと逆効果になることも。痛みが強い部位は、軽く動かす程度にとどめましょう。
ピラティスの筋肉痛に関するよくある質問
筋肉痛が来ないと効果がないのですか?
そんなことはありません。筋肉痛の有無と効果は、必ずしも比例しません。
ピラティスに慣れてくると、同じ動きでも筋肉痛になりにくくなります。これは、身体が効率的に動けるようになった証拠。筋肉痛がなくても、姿勢改善や柔軟性向上などの効果は着実に得られています。
「筋肉痛が来ない=効果がない」と焦らなくて大丈夫です。
筋肉痛になりにくいレッスン強度の上げ方は?
急に強度を上げると、強い筋肉痛につながりやすくなります。以下のように段階的に上げていくのがおすすめです。
まずは週1回のペースで身体を慣らし、慣れてきたら週2回に増やす。その後、グループレッスンからプライベートレッスンへ移行したり、マットからマシンへステップアップしたりすると、筋肉痛を最小限に抑えながら効果を高められます。
湿布や痛み止めを使ってもいいですか?
軽い筋肉痛であれば、基本的に湿布や痛み止めは必要ありません。筋肉痛は炎症反応の一部であり、この過程を経て筋肉は強くなります。
ただし、痛みが強くて日常生活に支障がある場合は、冷湿布で炎症を抑えたり、市販の鎮痛剤を使ったりしても問題ありません。ただし、痛みが何日も続く場合や、関節に痛みがある場合は、筋肉痛ではなく怪我の可能性があるため、医療機関を受診してください。
筋肉痛のピークが2日後に来るのは老化ですか?
よく「年を取ると筋肉痛が遅れて来る」と言われますが、これは医学的には証明されていません。
筋肉痛のピークが遅れて来る原因は、運動の強度や種類、その日の体調など、さまざまな要因が関係しています。年齢だけが原因とは限りません。
ただし、加齢とともに筋肉の修復スピードが遅くなるのは事実です。回復に時間がかかると感じたら、レッスン頻度を調整したり、栄養と睡眠をしっかり取ったりして、身体のケアを意識してみてください。
マシンとマット、どちらが筋肉痛になりやすいですか?
一般的に、マットピラティスの方が筋肉痛になりやすい傾向があります。
マットピラティスは、自分の体重だけで動きをコントロールするため、より強い筋力が必要です。一方、マシンピラティスは、スプリングの補助で負荷を調整できるため、筋肉への急激な負担を避けやすくなっています。
ただし、マシンピラティスでもスプリングの強度を上げれば筋肉痛になりますし、マットでも軽めのレッスンなら筋肉痛にならないこともあります。どちらが筋肉痛になりやすいかは、レッスンの内容と自分の体力次第です。
まとめ|痛みは身体からのサイン。無視せず対話をしよう
ピラティス後の筋肉痛は、身体が変わろうとしているサインです。お腹や裏もも、脇の下の筋肉痛は「正しく効いている証拠」として喜んでいいでしょう。一方、腰や首、前ももの痛みは「身体の使い方を見直すサイン」かもしれません。
筋肉痛があるときは、無理をせず、痛みの程度に応じて休養を取ったり、軽めのレッスンに切り替えたりしてください。栄養と休息をしっかり取れば、身体は以前より強くなって回復します。
痛みは身体からのメッセージ。無視せず、対話しながらピラティスを続けていきましょう。
