「ピラティスのインストラクターになりたいけど、資格が多すぎてどれを選べばいいか分からない」——これは、資格取得を考え始めた方の多くが最初にぶつかる壁です。
BASI、PHI、STOTT、FTP、Balanced Body……調べれば調べるほど選択肢が増え、違いも分かりにくい。費用も数十万円かかるため、「間違った選択をしたくない」と慎重になるのは当然のことです。
この記事では、ピラティス資格の選び方の判断基準から、主要5団体の特徴比較、マット資格とマシン資格の違いまで、資格選びに必要な情報を網羅的に解説します。
- 数ある資格の中から自分に合ったものを選ぶための判断基準
- 主要5団体(BASI・PHI・STOTT・FTP・Balanced Body)の特徴と違い
- マット資格とマシン資格、どちらを先に取るべきかの考え方
- 資格取得にかかる費用・期間の目安
- 資格選びでよくある疑問への回答
ピラティス資格が多すぎて選べない人へ
ピラティスには国家資格がなく、民間団体がそれぞれ独自の認定資格を発行しています。そのため「どの資格が正解」という絶対的な答えはありません。
ただし、資格選びで失敗しないための判断基準はあります。以下の3つのポイントを押さえておくと、自分に合った資格を見つけやすくなります。
「PMA加盟団体」を選ぶべき理由
まず確認したいのが、その団体がPMA(Pilates Method Alliance)に加盟しているかどうかです。
PMAは、ピラティス指導者の国際的な基準を定めるアメリカの非営利団体です。PMAが認定する資格試験「PMA-CPT(現在はNCPT)」は、ピラティスインストラクターの国際資格として広く認知されています。
PMA加盟団体の養成コースを修了すると、このNCPT試験の受験資格が得られます。つまり、PMA加盟団体の資格は「国際的に通用する質の高い教育を受けた証明」になるのです。
本記事で紹介する5団体(BASI、PHI、STOTT、FTP、Balanced Body)はいずれもPMA加盟団体です。これらの中から選べば、資格の信頼性という点では問題ありません。
目的別:リハビリ系・フィットネス系・クラシカルの違い
PMA加盟団体の中でも、それぞれに特色があります。大きく分けると以下の3つの方向性があります。
リハビリ・姿勢矯正系:医療的なアプローチを重視し、理学療法士や医療従事者にも人気。代表的なのはPHI Pilates。
フィットネス系:動きの流れ(フロー)や運動効果を重視し、一般のフィットネス層に向けた指導に強い。BASIやBalanced Bodyが該当します。
クラシカル系:ジョセフ・ピラティスのオリジナルメソッドに忠実な指導法。STOTT PILATESは解剖学的なアップデートを加えつつ、クラシカルの流れを汲んでいます。
「誰に、どんな目的で指導したいか」をイメージすると、自分に合った団体が見えてきます。
予算とスケジュール:働きながら取れるかどうかが鍵
資格取得には、費用と時間の両方がかかります。
費用は団体やコースによって異なりますが、マット資格で20〜40万円、マシン資格(コンプリヘンシブ)まで含めると100万円を超えることも珍しくありません。
取得期間も、短期集中型(数週間〜1ヶ月)から、働きながら週末に通うスタイル(半年〜1年)までさまざまです。
「今の仕事を続けながら取得したい」「なるべく費用を抑えたい」といった自分の状況に合わせて、無理のないスケジュールで取得できる団体・コースを選ぶことが大切です。
【比較表あり】主要団体の特徴・費用・難易度
ここからは、日本で取得できる主要5団体の資格を比較していきます。まずは一覧表で全体像を把握しましょう。
| 団体名 | 特徴 | マット資格の費用目安 | 取得期間目安 | 難易度 | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|---|
| BASI Pilates | フロー重視・業界最大手 | 30〜40万円 | 6ヶ月〜1年 | 中〜高 | フィットネス指導者・ダンサー |
| PHI Pilates | 姿勢矯正・リハビリ色強い | 25〜35万円 | 4日間〜(集中型) | 中 | 医療従事者・トレーナー |
| STOTT PILATES | 解剖学重視・厳格なカリキュラム | 30〜50万円 | 6ヶ月〜1年 | 高 | 解剖学を深く学びたい人 |
| FTP Pilates | マット資格の老舗・比較的安価 | 20〜30万円 | 1〜3ヶ月 | 低〜中 | まずはマットから始めたい人 |
| Balanced Body | 世界最大マシンメーカー発行 | 25〜35万円 | 数ヶ月〜 | 中 | マシン指導に興味がある人 |
※費用・期間は目安です。受講する養成校やコースによって異なります。
BASI Pilates
BASI(Body Arts and Science International)は、世界40カ国以上で展開する業界最大手の一つです。創設者のラエル・イサコウィッツ氏はジョセフ・ピラティスの弟子から学んだ第二世代にあたります。
特徴:動きの「フロー(流れ)」を重視し、エクササイズをスムーズにつなげていくスタイル。ダンサーやフィットネス指導者に人気があります。
カリキュラム:マット資格、マシン資格、コンプリヘンシブ(総合)資格の段階があり、体系的に学べます。解剖学や指導法も含めた総合的な内容です。
費用・期間:マット資格で30〜40万円程度、取得まで6ヶ月〜1年が目安。働きながら週末に通うスタイルが一般的です。
PHI Pilates
PHI Pilatesは、姿勢矯正やリハビリテーションに重点を置いた団体です。創設者のクリスティン・ローマニー・ルビー氏は理学療法士であり、医学的なアプローチが特徴です。
特徴:「ピラティスを通じて姿勢を改善する」という明確なコンセプト。理学療法士、柔道整復師、パーソナルトレーナーなど、医療・治療系のバックグラウンドを持つ人に人気があります。
カリキュラム:マット、リフォーマー、チェア、バレルなど器具別に資格が分かれており、必要なものから段階的に取得できます。
費用・期間:マット資格は4日間の短期集中コースで25〜35万円程度。働きながらでも取得しやすいのがメリットです。
STOTT PILATES
STOTT PILATES(ストット・ピラティス)は、カナダ発祥の団体で、現代の解剖学・バイオメカニクスの知見を取り入れた「コンテンポラリー・ピラティス」を提唱しています。
特徴:クラシカル・ピラティスをベースにしながら、脊柱のニュートラルポジションなど解剖学的なアップデートを加えています。エビデンスを重視する姿勢が特徴です。
カリキュラム:非常に厳格で、試験の難易度も高いとされています。その分、資格の信頼性は高く、海外でも通用しやすいです。
費用・期間:マット資格で30〜50万円程度、取得まで6ヶ月〜1年。しっかりと時間をかけて学びたい人向けです。
FTP Pilates
FTP(Fitness Training Professionals)は、イギリス発祥の団体で、マットピラティスの資格として歴史があります。
特徴:マットピラティスに特化しており、グループレッスンの指導法を学ぶのに適しています。比較的安価で取得しやすいのが魅力です。
カリキュラム:ベーシック、アドバンスの2段階で構成されています。マシン資格は別団体で取得する必要があります。
費用・期間:20〜30万円程度で、1〜3ヶ月での取得が可能。まずはマット資格から始めたい人におすすめです。
Balanced Body
Balanced Body(バランスドボディ)は、ピラティスマシンの世界最大メーカーとして知られる企業が運営する教育プログラムです。
特徴:マシンメーカーならではの強みで、リフォーマーをはじめとする器具の使い方を深く学べます。マシンピラティスに興味がある人に向いています。
カリキュラム:マット、リフォーマー、その他器具と段階的に学べます。オンラインコンテンツも充実しており、自分のペースで学習を進められます。
費用・期間:マット資格で25〜35万円程度。養成校によってスケジュールは異なります。
「マット資格」と「マシン資格」どちらを先に取るべき?
ピラティスの資格には、大きく分けて「マット資格」と「マシン資格(コンプリヘンシブ資格)」があります。どちらを先に取るべきかは、目的やキャリアプランによって異なります。
まずはマットから始めて、あとでマシンを追加する戦略
多くの養成コースでは、マット資格がマシン資格の前提条件になっています。つまり、マットピラティスの基礎を学んでから、マシンへとステップアップしていく流れが一般的です。
マットから始めるメリット:
- 費用を抑えられる(マット資格のみなら20〜40万円程度)
- 短期間で資格を取得し、早く現場に出られる
- 自宅やレンタルスタジオなど、マシンがなくても指導を始められる
副業としてピラティスを始めたい方や、まずは指導経験を積みたい方には、この戦略が向いています。
就職・独立を目指すなら最初からマシン資格を検討すべき理由
一方、本格的にピラティスインストラクターとして就職・独立を目指すなら、最初からマシン資格(コンプリヘンシブ資格)まで取得することを検討した方が良いケースもあります。
マシン資格を取るメリット:
- プライベートレッスンを担当でき、単価が上がる
- マシンピラティススタジオへの就職で有利になる
- 指導の幅が広がり、さまざまなクライアントに対応できる
費用は100万円を超えることもありますが、投資として考えれば、早い段階でマシン資格を持っている方がキャリアの選択肢は広がります。
「どこまで本気でやりたいか」「いつまでに、どんな働き方をしたいか」を明確にした上で、取得計画を立てることをおすすめします。
ピラティス資格に関するよくある質問
英語ができないと海外資格は取れませんか?
本記事で紹介した5団体は、いずれも日本国内に認定養成校があり、日本語でカリキュラムを受講できます。英語力がなくても問題なく資格を取得できます。
ただし、NCPT(PMAの国際資格試験)を受験する場合は英語での試験となるため、別途対策が必要です。
通信講座(オンラインのみ)の資格でも通用しますか?
コロナ禍以降、オンラインで受講できる養成コースも増えています。ただし、ピラティスは「身体で覚える」要素が大きいため、完全オンラインのみで取得した資格は、対面での実技指導を受けた資格と比べて実践力に差が出やすいのが実情です。
可能であれば、対面での実技講習が含まれるコースを選ぶことをおすすめします。
更新料や維持費はかかりますか?
団体によって異なりますが、多くの場合、資格の維持には定期的な更新が必要です。更新には「継続教育単位(CEU)」の取得が求められることが多く、ワークショップへの参加などで単位を取得します。
更新料は年間数千円〜数万円程度が一般的です。資格取得前に、維持費用についても確認しておくと安心です。
違う団体のワークショップに参加してもいいですか?
はい、問題ありません。むしろ、複数の団体のワークショップに参加することで、異なる視点やアプローチを学べるため、指導の幅が広がります。
ピラティス業界では「どの団体の資格を持っているか」よりも「どれだけ学び続けているか」が重視される傾向があります。資格取得後も積極的に学び続ける姿勢が大切です。
履歴書に書けるのはどのレベルからですか?
養成コースを修了し、認定資格を取得すれば、履歴書に記載できます。「〇〇(団体名)認定ピラティスインストラクター」といった形で記載するのが一般的です。
ただし、スタジオによって求める資格レベル(マットのみ、マシンも必須など)は異なるため、就職・転職の際は求人条件を確認しておきましょう。
まとめ|資格はゴールではなく、学び続けるためのパスポート
ピラティス資格を選ぶ際は、以下の3つの視点で検討するのがおすすめです。
- 信頼性:PMA加盟団体の資格を選ぶ
- 目的との一致:リハビリ系か、フィットネス系か、自分の方向性に合った団体を選ぶ
- 現実性:費用とスケジュールが自分の状況に合っているか確認する
どの団体を選んでも、大切なのは「資格を取ること」がゴールではないということです。資格は、ピラティスを学び続け、指導者として成長していくための「パスポート」に過ぎません。
まずは気になる団体の説明会や体験会に参加して、雰囲気やカリキュラムを実際に確かめてみてください。自分に合った資格と出会えることを願っています。
